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1.最近発生した大規模自然災害
地域計画策定後に県内外で発生した大規模自然災害の被害状況を基に、現在の地域計画
の点検を行い、足らざる部分等が無いか見直しを行う。
県内 県外
□平成 28 年鳥取県中部地震
□平成 29 年豪雪
□平成 28 年熊本地震
□平成 28 年台風 10 号豪雨
□平成 29 年 7 月九州北部豪雨
□平成 30 年 2 月福井豪雪
□平成 30 年 6 月大阪北部地震
□平成 30 年 7 月豪雨
資料 2-1
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平成 28 年鳥取県中部地震
1)災害の概要
発生日時: 平成 28 年(2016 年)10 月 21 日 14 時 07 分
震 源: 鳥取県中部(北緯 35.4 度、東経 133.9 度) 深さ:11km(暫定値)
地震規模: マグニチュード 6.6
死 傷 者: 死者 0 名、重傷者 8 名、軽傷者 17 名
建物被害: 住家 … 全壊 18 棟、住家半壊 312 棟、一部破損 15,078 棟
非住家(その他) … 全壊 106 棟、半壊 210 棟
そ の 他: 伝統的建造物群地区などの文化財に被害発生
(H30.3.20 時点)
図 1 震度分布図(各観測点毎)
図 2 白壁土蔵群の建物被害
2)リスクシナリオに基づく被害の分類
1-1 住宅被害による負傷者の発生
特定天井等施設の被害(避難所機能不全)
1-6 避難行動要支援者への情報伝達の不足
2-1 段ボールベッド等物資の不足
福祉避難所の開設・支援等の対応不備
2-3 自主防災組織におけるリーダ不足
2-4 断水による透析患者の転院
3-3
防災拠点施設の機能不全
災害対策本部設置の遅れ
初動時における職員不足
5-1 梨の落下被害
5-3 学校給食センター被害による長期供給停止
6-1 水力発電所被害に伴う発電停止
6-2 水道施設被害に伴う住民避難
7-1 応急措置用資材(ブルーシート等)の不足
住宅仮設対応の人材不足(屋根ブルーシート張り)
7-4 文化財への被害(観光への影響)
8-2 住宅罹災証明発行の遅延
住宅修繕工事に伴う人材不足
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平成 29 年豪雪
1)災害の概要
【1 月 22 日~24 日】(被害状況は H29.2.7.時点)
積 雪 量: 米子 48 センチ、大山町 241 センチ、倉吉市 49 センチ、
鳥取市 57 センチ、智頭町 111 センチ
死 傷 者: 死者 1 名、重傷者 5 名、軽傷者 12 名
建物被害: 住家 … 一部損壊 6 棟
非住家(公共建築)… 一部損壊 1 棟
非住家(その他) … 全壊 6 棟、半壊 5 棟、一部損壊 1 棟、浸水 2 棟
そ の 他: 車両の立ち往生 (県内:鳥取自動車道、米子自動車道、国道 53 号線、国道 373 号線)
図 3 国道 373 号(智頭町)の立ち往生
図 4 動けなくなった列車(青谷駅付近)
【2 月 9 日~12 日】(被害状況は H29.2.24 時点)
積 雪 量: 鳥取市 91 センチ、米子市 40 センチ、倉吉市 61 センチ、 大山町 264 センチ、智頭町 85 センチ
死 傷 者: 死者 2 名、重傷者 3 名、軽傷者 20 名
建物被害: 住家 … 半壊 1 棟、一部破損 14 棟、床下浸水 1 棟 非住家(公共建築)… 一部損壊 1 棟 非住家(その他) … 全壊 20 棟、半壊 4 棟等
そ の 他: 車両の立ち往生(県内:国道 180 号・181 号、山陰道、国道 9 号)
2)リスクシナリオに基づく被害の分類
1-5
死傷者の発生(除雪機機の操作ミス、屋根の雪下ろし)
車両の立ち往生起因の負傷者の発生
積雪による建物の倒壊被害
2-2 孤立集落の発生
5-1 ビニールハウス倒壊等による農作物被害
漁船の転覆、沈没被害
5-3 道路機能麻痺によるスーパー、コンビニ等での食料品不足
6-1 豪雪に伴う設備故障等による停電の発生
6-3 豪雪に伴う立ち往生車両の発生(道路機能停止)
積雪や倒木による鉄道の立ち往生や遅れの発生
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平成 28 年熊本地震
1)災害の概要
【前震】 【本震】
発生日時: 平成 28 年 4 月 14 日 21 時 26 分
発生日時: 平成 28 年 4 月 16 日 1 時 25 分
震 源: 熊本県熊本地方(北緯32 度 44.5 分、東経 130度 48.5 分) 深さ 11km
震 源: 熊本県熊本地方(北緯 32度 45.3 分、東経 130 度45.8 分) 深さ 12km
地震規模: マグニチュード 6.5 地震規模: マグニチュード 7.3
震 度: 震度 7 熊本県震益城町 震 度: 震度 7 熊本県益城町、 西原村等
【主な被害】
死 傷 者: 死者 264 名、重傷者 1,179 名、軽傷者 2,550 名
建物被害: 住家 … 全壊 8,648 棟、半壊 34,398 棟、一部破損 154,065 棟 非住家 … 公共建物 439 棟、その他 10,915 棟
土砂災害: 土石流等 57 件、地すべり 10 件、がけ崩れ 123 件
そ の 他: 熊本県内市町村において、庁舎損壊等のため、庁舎外に機能を移転
(死傷者及び建物被害は H30.4.13 時点、土砂災害は H28.9.14 時点)
図 5 前震および本震の震度分布図
(出典)気象庁資料
2)「平成 28 年熊本地震」の特徴
①住宅等倒壊による被害 今回の地震では、前震では旧基準により設計された住宅などの建物が多くの被害を受け、
さらに、本震では新耐震基準で設計された建物でも倒壊等の被害を受けたケースが多く見
られた。死者 50 名のうち、住宅の倒壊による死者が 37 名と 7 割超となった。
また、南阿蘇村では、本震により山地の表層崩壊が発生し、土砂による団地を飲み込んで、
多数の死傷者を出した。
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②防災拠点等の被災 益城町や宇土市では、災害対策本部が設置される町役場や市役所庁舎が大きく損傷し、機
能不全となった。
また、学校体育館や公共施設においても、建物の非構造部材である天井の落下やガラス破
損などの被害により、災害時の物資拠点や避難所としての利用ができなくなる施設も見ら
れたため、避難所の不足が深刻な問題となった。
③避難所運営 頻発する余震の影響等で、避難所には収容能力を超える住民が避難し、車中泊や避難所の
廊下等で生活する者が多数発生した。特に、障害者等の要避難支援者が避難所に入ることが
困難であった。また、車中泊の長期化により、エコノミークラス症候群の患者が発生した。
④地震関連死 地震後、精神疾患による自殺や車中泊による急性心筋梗塞・心臓疾患などによる死亡など、
地震関連死は直接死 50 名よりも多い 175 名を数えた。
⑤物流 熊本県ではここ近年地震が発生していなかってこともあり、県民の災害に備える意識が
低く、個人の食糧等備蓄が不十分であったため、被災時に食料を求める長い列ができた。ま
た、救援物資は自治体の集積し、各避難所へ届ける予定であったが、多くのトラック往来で
荷卸が間に合わなくなり、物資が滞留したため、救援物資が避難所へ届かない状況となった。
そのため、4 月 19 日からは避難所直送方式に変更し、ようやく物資の不足が解消しはじめ
た。
⑥交通ネットワークの分断 南阿蘇と熊本市内を結ぶ幹線ルートにある阿蘇大橋は、地震による大規模斜面崩落によ
り、落橋したため、重要な交通ネットワークが分断され、救援活動に大きな支障となった。
また、九州自動車道では高速道路の上を跨いで架けられた跨道橋が落橋し、高速道路をふ
さぐ被害となった。
⑦地震後の大雨による被害の発生・拡大 平成 28 年 6 月 19 日から 25 日にかけて梅雨前線が停滞し、特に、東シナ海から接近した
低気圧が 20 日夜にかけて九州北部を通過した。このため、前線が活発となり、21 日朝にか
けて大雨となった。時間雨量は、熊本市で 94 ㎜、宇土市で 122 ㎜、甲佐町で 150 ㎜を観測
し、土砂災害、浸水被害等が発生し、熊本県内で死者 6 名となった。熊本地震発生から 2 か
月後の大雨であり、各地で土石流が発生し、地震後の被害から新たな斜面崩壊や拡大が確認
された。
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3)リスクシナリオに基づく被害の分類
1-1 住宅の倒壊による死傷者の発生
特定天井等施設の被害(避難所機能不全)
1-4 山地表層崩壊による死傷者の発生
地震後の豪雨による被害の拡大(斜面崩壊等)
2-1
避難所への救援物資の途絶
避難所収容能力を超える避難者の発生
避難行動要支援者への対応不足
2-3 幹線道路の分断による救援活動への支障
2-4 車中泊によるエコノミークラス症候群患者の発生
地震後の疾患等による関連死
3-3 庁舎被災による防災拠点の機能不全
5-2 大規模斜崩壊による幹線ルートの分断
高速道路跨道橋の落下による機能停止
図 6 建物被害の様子と道路損壊の様子
(出典)熊本県
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平成 28 年台風 10 号豪雨
1)災害の概要
平成 28 年 8 月 19 日に発生した台風第 10 号は、大型で非常に強い台風となって 30 日
17:30 頃岩手県大船渡市付近に上陸した。この台風により岩手県宮古市、久慈市で 1 時間
に 80 ㎜の猛烈な雨となったほか、28 日 0 時から 31 日 6 時までに北海道上士幌町で平年
の 8 月 1 ヶ月に降る雨量を超える 329 ㎜を観測し、記録的な大雨がもたらされた。
死 傷 者: 死者 26 名、行方不明者 3 名、負傷者 14 名
建物被害: 住家 … 全壊 518 棟、半壊 2,281 棟、一部破損 1,174 棟、 床上浸水 279 棟、床下浸水 1,752 棟
非住家 … 公共 17 棟、その他 2,500 棟
そ の 他: 岩手県で洪水により、高齢者施設の入所者 9 名が死亡
→これを受けて国は避難準備情報の名称変更を実施
(被害状況は H29.11.8 消防庁発表による)
図 7 土砂災害の被災状況(岩手県岩和泉町)
(出典)岩手県
図 8 高齢者グループホームの被災状況
(出典)避難勧告等の判断・伝達マニュアル 作成ガイドラインに関する検討会
変更前 変更後
避難準備情報
避難勧告
避難指示
避難準備・高齢者等避難開始
避難勧告
避難指示(緊急)
図 9 避難準備情報の名称変更(平成 28 年 12 月 26 日公表)
2)リスクシナリオに基づく被害の分類
1-3 浸水被害による死傷者の発生
1-6 高齢者施設における避難の遅れによる死傷者の発生
2-2 土石流等に伴う道路寸断
生活橋の流出による孤立集落の発生
6-3 土砂・流木等による道路閉塞や橋梁の流出等による生活道路の機能停止
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平成 29 年 7 月九州北部豪雨
1)災害の概要
平成 29 年 7 月 5 日から 9 日にかけて、福岡県筑後北部から大分県西部に線状降水帯が形
成・維持され、同じ場所で猛烈な雨を継続的に降らせたことから、九州北部地方で記録的な
大雨となった。
【降雨状況】朝倉市(福岡県)
時間降雨(最大)129.5 ミリ
日降雨(最大) 516.0 ミリ(7/5)
総降水量 630.5 ミリ(7/5~7/9)
図 9 福岡県朝倉市 赤谷川の被害(7 月 7 日)
(出典)国土地理院 HP
【福岡県内の主な被害】(被害状況は H30.6.1 時点)
人的被害: 死者 37 名、重傷者 12 名、軽傷者 9 名、行方不明者 2 名
建物被害: 住家 … 全壊 287 棟、半壊 822 棟、一部損壊 39 棟、
床上浸水 22 棟、床下浸水 598 棟
非住家 … 公共 7 棟、その他 746 棟
そ の 他: 道路損壊・埋没、橋流・橋損、河川溢水、河川施設・設備損壊、崖崩れ
【大分県内の主な被害】(被害状況は H.29.8.31(最終報)による)
人的被害: 死者 3 名、重傷者 1 名、軽傷者 3 名
建物被害: 住家 … 全壊 48 棟、半壊 269 棟、一部損壊 5 棟、
床上浸水 150 棟、床下浸水 843 棟
非住家 … 全壊 43 棟、半壊 40 棟、一部損壊 3 棟
床上浸水 325 棟、床下浸水 189 棟
そ の 他: 道路被害、河川被害、崖崩れ等
2)リスクシナリオに基づく被害の分類
1-4 土石流による住宅倒壊と死傷者の発生
1-6 避難行動前の土石流発生による逃げ遅れ被害
2-2 土石流等に伴う道路寸断、生活橋の流失による孤立集落の発生
6-3 土石流・流木等による道路閉塞や橋梁の流失などによる生活道路の機能停止
7-1 大規模斜面崩壊による河川のせき止め(土砂ダムの形成)
7-2 流木・土砂流出に伴うため池の崩壊
ため池下流域における住宅の倒壊・死傷者発生
8-1 大量の流木による復興・復旧の遅れ
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平成 30 年 2 月福井豪雪
1)災害の概要
2 月 3 日から 8 日にかけ、日本付近は強い冬型の気圧配置となり、北日本から西日本にか
けての日本海側を中心に断続的に雪が降り、福井県福井市では昭和 56 年の豪雪依頼 37 年
ぶりに積雪が 140 センチを超える大雪となった。
積 雪 量: 福井 147 センチ、武生 111 センチ、大野 169 センチ、 九頭竜 247 センチ、今庄 122 センチ、敦賀 57 センチ、小浜 48 センチ
死 傷 者: 死者 12 名、重傷者 26 名、軽傷者 95 名(道路立ち往生中の緊急搬送含む)
建物被害: 住家 … 全壊 1 棟、半壊 4 棟、一部損壊 54 棟、床下浸水 7 棟、 非住家 … 半壊以上 80 棟
そ の 他: 国道 8 号の通行止め及び立ち往生のほか、国道や県市道等の通行止め多数(中部縦貫自動車道、北陸道通行止め等)、JR 及び私鉄、路線バスの相次ぐ運休
(被害状況は H30.3.19.時点)
図 10 滞留状況(福井県あわら市)
図 11 除雪作業状況(福井県坂井市)
(出典)国土交通省 近畿地方整備局 HP
2)リスクシナリオに基づく被害の分類
1-5 死傷者の発生(屋根の雪下ろし、車内での一酸化炭素中毒等)
積雪による建物の倒壊被害
2-2 孤立集落の発生(豪雪による市道の寸断)
5-1 ビニールハウス倒壊等による農作物被害
交通機能麻痺に伴う企業の休業
5-3 道路機能麻痺によるスーパー、コンビニ等での食料品不足
道路機能麻痺によるガソリンスタンドでの燃料不足
6-1 豪雪に伴う停電の発生
6-3
豪雪に伴う立ち往生車両の発生(道路機能停止)
長期間にわたる幹線道路の通行止め
除雪能力を上回る降雪により多くの鉄道が運休
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平成 30 年 6 月大阪北部地震
1)災害の概要
発生日時: 平成 30 年 6 月 18 日 7 時 58 分
震 源: 大阪府北部(北緯 34.8 度、東経 135.6 度) 深さ:13km(暫定値)
地震規模: マグニチュード 6.1(暫定値)
死 傷 者: 死者 4 名、重傷者 17 名、軽傷者 418 名
建物被害: 住家 … 全壊 12 棟、半壊 263 棟、一部破損 39,354 棟
非住家… 公共 675 棟、その他 11 棟
そ の 他: 控え壁の無いブロック塀の崩落に巻き込まれ死亡事故が発生
※被害状況は内閣府資料(H30.7.5)から大阪府(7.20 時点)と京都府(7.17 時点)の被害を修正し集計
最大避難者数は大阪府で 2,397 名、京都府で 279 名にのぼり、7 月 23 日時点の大阪府では
16 箇所の避難所※において 60 名の方が避難生活を送っている。
※高槻市 3箇所(30 名)、枚方市 1カ所(2 名)、茨木市 12 箇所(28 名)
図 12 震度分布図
(出典)気象庁資料
2)リスクシナリオに基づく被害の分類
1-1 死傷者の発生(ブロック塀の崩落、家具の下敷き)
2-1 鉄道の運行見合わせによる帰宅困難者の発生
6-2 長期にわたるガスの供給停止
老朽化した水道管の破断
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平成 30 年 7 月豪雨
1)災害の概要
6 月 28 日以降日本付近に停滞した、前線や、6 月 29 日に発生した台風 7 号の影響により
日本付近に暖かく非常に湿った空気が供給され続け、西日本を中心に全国的に広い範囲で
記録的な大雨となった。
人的被害: 死者 217 名、重傷者 53 名、軽傷者 196 名、行方不明者 12 名
※その他、連絡がとれない者の情報有り
建物被害: 住家 … 全壊 2,825 棟、半壊 510 棟、一部損壊 942 棟、
床上浸水 14,023 棟、床下浸水 18,406 棟
非住家 … 公共 6 棟、その他 40 棟
(被害状況は H30.7.18 時点)
図 13 平成 30 年 7月豪雨の降水量分布
(6月 28 日から~7月 8日)
(出典)気象庁資料
図 14 救助活動の様子(倉敷市)
(出典)消防庁資料
2)「平成 30 年 7 月豪雨」の特徴
①大規模な浸水被害 長時間の豪雨による河川堤防の決壊や氾濫により、各地で大規模な浸水被害が発生し、多くの死
傷者や建物の全壊・床上浸水等、甚大な被害となった。特に、岡山県倉敷市真備町では、高梁川
と小田川の合流付近で、「バックウォーター現象」に伴う河川の氾濫や堤防決壊が広範囲で発生し、
浸水から逃げ遅れた多数の死者を出した。
※バックウォーター現象
本川の水位が高い場合、支川から本川への流入が起こらず、そのために支川の水位が上昇すること
②土砂崩れや土石流による被害 豪雨に伴い、各地で土砂崩れや土石流が発生し、広島県を中心に多くの住民が死傷した。また、
広島市安芸区では、団地の山側にある砂防ダムが崩壊し、団地内の住宅が倒壊、多くの死傷者を
出した。
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③ダム放流に伴う大規模浸水被害 愛媛県西予市及び大洲市では、上流ダムの緊急放流に伴い、下流地区の大規模な浸水被害が
発生し、多数の死傷者が発生した。特に、ダム放流前の住民への情報伝達や避難指示の不備等が
懸念される。
④ため池の決壊による被害 豪雨に伴い農業用のため池において、ため池の決壊により、女児が流され犠牲となった。堤防の
決壊や法面の崩壊は各地で多く見られ、それに伴い住民への避難指示が発令された。
⑤交通インフラの機能停止 土砂崩れなどにより、各地で道路や鉄道の交通機関が機能停止する被害が発生し、復旧の目処
が立っていない区間もある。
⑥水道の断水被害 浸水による上水道施設の冠水や、土砂崩れによる水道管の破損など、多くの地域で断水が発生
している。
⑦大量のがれき・ごみの発生 広域の浸水被害や土砂災害により、被災地では大量のがれき・ごみが発生し、学校の校庭などに
積み上げられ、衛生環境の悪化が懸念されている。
⑧病院等の浸水被害 豪雨に伴い断水や浸水、停電の被害を受けた医療施設(精神病院を除く)は95施設にのぼった。
広範囲に浸水した真備町では、地区の中心的な医療機関であるまび記念病院では浸水高さが 3 メ
ートルを超え、自家発電設備が水没した他、取り残された入院患者や医療関係者、避難してきた近
隣住民等の救助活動が必要となった。
3)リスクシナリオに基づく被害の分類
1-3 上流ダムの放流による下流地域の浸水被害、ダム放流等情報伝達の不備
河川堤防の決壊やバックウォーター現象に伴う浸水被害
1-4 砂防ダムの崩壊による下流域への被害
土砂崩れによる住宅の崩壊、死傷者の発生
1-6 上流ダムの放流による下流地域の浸水被害、ダム放流等情報伝達の不備
土砂崩れや浸水被害に伴う避難指示等情報伝達不備による死傷者の発生
2-4 病院の浸水被害による機能停止
5-2 土砂崩れ等による道路・鉄道などの交通インフラの機能停止
6-2 浸水被害や土砂崩れ等による長期間にわたる水道の断水被害
6-3 土砂崩れ等による道路・鉄道などの交通インフラの機能停止
7-1 上流ダムの放流による下流地域の浸水被害、ダム放流等情報伝達の不備
7-2 砂防ダムの崩壊による下流域への被害
8-1 大量のがれき・ごみの発生と衛生環境の悪化
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4)鳥取県における被害
(降雨量)
・総降雨量:智頭 508.5 ミリ(7 月 3 日 0 時から 9 日 10 時まで)
・最大1時間降水量:大山町大山 38.5 ミリ
(人的被害)
・鳥取市(調査中:7 月 9 日鳥取市河原町千代川中州で水死者 1 名)
(住家被害)
・全壊:なし、半壊:なし、一部損壊:3 棟、床上浸水:7 棟、床下浸水:54 棟
(公共土木施設の被害)
道路 橋梁 河川 砂防 港湾 公園 合計
県管理 53 箇所 0 箇所 214 箇所 81 箇所 2 箇所 0 箇所 350 箇所
市町村管理 49 箇所 1 箇所 20 箇所 0 箇所 0 箇所 3 箇所 72 箇所
合計 102 箇所 1 箇所 234 箇所 81 箇所 2 箇所 2 箇所 424 箇所
(河川施設)
・排水機場における冷却水の不足によるポンプ機能停止(鳥取市)
(土砂災害)
・10 箇所
(避難勧告等)
・避難指示:84,261 世帯、199,697 人
・避難勧告:52,451 世帯、128,566 人
・避難準備・高齢者等避難開始:36,098 世帯、94,895 人
(孤立集落)
・土砂崩れによる孤立集落の発生:5 地区(724 世帯、1807 人、7/6~7/7)
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(農林水産関係被害) (平成 30 年 7 月 13 日現在)
対象 被害金額
(判明分のみ) 備考
農作物 30,924 千円 水稲 17.20ha、すいか 1.07ha、 白ねぎ 0.13ha、大根 0.27ha、 シンテッポウユリ 0.01ha 未満
農地・土地改良施設 99,100 千円 農地 31 箇所、農道 8 箇所、水路 16 箇所、
頭首工 2 箇所
林業関係 761,082 千円 林道 93 路線、作業道・林業専用道 77 路線
(鉄道) (平成 30 年 7 月 20 日現在)
①スーパーはくと、スーパーいなば
智頭~因幡社間の線路で土砂流出入等が発生し、智頭~用瀬間で不通となる。
※7 月 18 日の始発から全便運行再開
7 月 18 日の全便運行再開に併せ、倉吉~米子間で臨時特急列車等(平日のみ 2 往復)、米
子~出雲市間でやくも(2 往復。臨時特急列車等と接続。)を運行。
②特急やくも号
全区間又は一部区間で運転を取りやめ。
※7 月 21 日(土)から岡山~米子間のバス代行輸送(直行便 5 往復)を実施。
※伯備線全線の運転再開は 8 月中旬を予定
(出典)JR 西日本資料
(観光)
◆旅館・ホテル等のキャンセル状況(平成 30 年 7 月 17 日現在)
区分 キャンセル数
(人泊) 7 月 5 日(木)~
8 日(日) 7 月 9 日(月)~ 16 日(月・祝)
東部(4 施設) 803 481 322
中部(39 施設) 4,006 2,097 1,909
西部(25 施設) 3,930 2,190 1,740
合計 8,739 4,768 3,971
1 日あたりのキャンセル数 1,192 1,192
合計 891,106 千円 ―
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2.計画策定後の法改正状況等
平成 27 年 9 月の関東・東北豪雨や平成 28 年 8 月台風 10 号豪雨の災害では、逃げ遅れに
よる多数の死者や甚大な経済損失が発生した。このように、全国各地で豪雨が頻発・激甚化
していることに対応するため、「施設整備により洪水の発生を防止するもの」から、「施設で
は防ぎきれない大洪水は必ず発生するもの」への意識を根本的に転換し、ハード・ソフト対
策を一体として、社会全体でこれに備える水防災意識社会の再構築の取り組みが必要とな
った。特に、「逃げ遅れゼロ」、「社会経済被害の最小化」を実現し、同様の被害が二度と繰
り返さない抜本的な対策が急務となっている。そのため、国では以下の法律を改正し、上記
の取組みを推進している。
「水防法等の一部を改正する法律」(平成 29 年法律第 31 号)
「土砂災害防止法の改正」(平成 29 年 6 月 19 日改正)
また、熊本地震をはじめとしたこれまでの大地震において、倒壊・崩壊には至らないま
でも、構造体の部分的な損傷、非構造部材の落下等により地震後の機能継続が困難となっ
た事例が見られることから、大地震時における防災拠点建築物の機能継続を図るにあたり
必要となる事項について平成 29 年 7 月より検討が行われ、「防災拠点等となる建築物に係
る機能継続ガイドライン(H30.5)」が策定された。
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3.鳥取県における関連計画等の見直し状況
「鳥取県元気づくり総合戦略」 平成 29 年 7 月改訂
地域計画策定時、「鳥取県元気づくり総合戦略」は平成 27 年 10 月版を使用していたが、
その後平成 28 年、平成 29 年に改定が行われている。国土強靱化と地方創生については、効
率的・効果的に連携させる必要があることから、総合戦略の見直し事項について、地域計画
へ反映が必要な項目がないか確認を行う。
平成 29 年改訂 “鳥取ならではの「防災文化づくり」”に向けた施策の追加
平成 29 年改訂 “子育て・介護など、家庭と仕事が両立できる環境づくり”に向けた施策の追加
20
鳥取県防災及び危機管理に関する基本条例の改正
平成 28 年 10 月に発生した鳥取県中部地震や平成 29 年 1 月、2 月の豪雪の際に示された
鳥取県らしい人と人の絆に基づく住民の助け合いの取組である「災害時支え愛活動」な
ど、強化すべき施策や新たな取り組みを推進することを目的に、平成 29 年 7 月に一部改
正された。その後、平成 30 年 1 月にも生活復興支援体制の構築を図ることを目的に一部
改正されている。
○平成 29 年 7 月一部改正
(主な改正のポイント)
・「災害時支え愛活動(※)」の推進
※住民による支え愛避難所の運営その他鳥取県らしい人と人の絆の強さを基調と
して行われる共助の取り組み
・「支え愛避難所(※)」への支援
※市町村が指定する避難所以外で、住民が所有・管理している集会所等で、
住民が自主的に開設・運営する避難所
・自家用車等に避難した被災者への健康面の配慮
・支え愛マップづくりの取り組みなどによる避難行動要支援者の避難支援体制
づくりを地域ぐるみで推進
・高齢者、障がい者、外国人等多様な人の特性に配慮した対策の強化
・地域の防災リーダーの一層の活用
・不特定多数の者が利用する県・市町村管理施設の建築物の非構造部材の
耐震性の確保
○平成 30 年 3 月一部改正
被災者の生活復興支援体制の構築を図ることを目的に改正。以下の条文が追加された。
(被災者の生活復興支援体制の構築)
第 25 条の2 県及び市町村は、相互に連携し、必要に応じ、個々の被災者の住宅、就
労、健康、財産管理その他生活に係る課題に総合的に対応する体制を構築し、被災者の
生活の復興支援を行うものとする。
21
鳥取県津波浸水想定区域の設定(平成 30 年 3 月)
学識者等で構成する「鳥取県地震防災調査研究委員会 津波浸水想定部会」において検討
された最大クラスの津波が悪条下において発生した場合における浸水区域等が公表された。
図 15 市町村別の最大津波高(m)、最大津波到達時間(分)
及び 30cm 海面変動到達時間(分) (遠地:佐渡島北方沖断層)
図 16 市町村別の最大津波高(m)、最大津波到達時間(分)
及び 30cm 海面変動到達時間(分) (近地:F55断層)
22
その他の関係計画の改訂状況
NO. 計画名称 担当部局 地域計画策定時 最新版
1
鳥取県地域防災計画 危機管理局 平成 26 年 3 月 平成 27 年 8 月※
1-1.災害予防編(共通) 〃 〃 〃
1-2.災害応急対策編(共通) 〃 〃 〃
1-3.震災対策編 〃 〃 〃
1-4.津波災害対策編 〃 〃 〃
1-5.風水害対策編 〃 〃 〃
雪害対策編(暫定運用版) 〃 なし 平成 29 年 12 月
暫定運用開始
2 鳥取県震災対策アクションプラン 危機管理局 平成 22 年 12
月 ←
3 鳥取県耐震改修促進計画 生活環境部
くらしの安心局 平成 19 年 3 月
平成 29 年 3 月 改定
4 鳥取県版業務継続計画(BCP)策定推進に関する基本指針
危機管理局 平成 24 年 6 月
改訂 ←
5 鳥取県警察災害警備計画 警察本部
警備部
平成 24 年 6 月 制定
←
6 鳥取県保健医療計画 福祉保険部 医療政策課
平成 25 年 4 月 平成 30 年 4 月
策定
7 鳥取県地域医療再生計画 福祉保険部 医療政策課
平成 26 年 3 月 ←
8 鳥取県災害医療活動指針 福祉保険部 医療政策課
平成 24 年 7 月 ←
9 鳥取県教育振興基本計画 教育委員会 平成 26 年 3 月
改訂 ←
10 とっとり森と緑の産業ビジョン 生活環境部
くらしの安心局 平成 26 年 5 月 ←
11 鳥取県国民保護計画 危機管理局 平成 22 年 7 月
改訂 平成 29 年 6 月
変更
12 国土交通省 第 3 次社会資本整備重点計画
国土交通省 平成 24 年 8 月 第 4 次社会資本整備
重点計画 平成 27 年 9 月
13 鳥取県災害廃棄物処理計画 生活環境部
循環型社会推進課 なし
平成 30 年 4 月 策定
※鳥取県地域防災計画は現在改訂作業中