食品安全GAP
平成18年9月5日
農林水産省 消費・安全局 農産安全管理課
農林水産省施策における位置づけ
第3 食料、農業及び農村に関し総合的かつ計画的に講ずべき施策
1.食料の安定供給の確保に関する施策(1)食の安全及び消費者の信頼の確保ア リスク分析に基づいた食の安全確保① 農場から食卓までのリスク管理の徹底
(ア) 生産段階における取組農薬等生産資材の使用基準を必要に応じ見直すとともに、その遵守
の徹底を図る。また、農産物や食品に含まれる有害な物質については、リスクの程度や汚染状況の実態調査を行い、その結果に基づいて適切なリスク管理を実施する。さらに、平成18年度までに、主な作物別のGAP(適正農業規範)の策定と普及のためのマニュアルを整備し、各地域や作物の特性等に応じたGAPの策定と、これに基づく農業生産・出荷等、農業者・農業団体や事業者による自主的な取組を促進する。
食料・農業・農村基本計画(平成17年3月)より抜粋
GAP(ジー・エイ・ピー)とは何か -1-GAP (Good Agricultural PracticeGAP (Good Agricultural Practice))
食品安全、環境保全、労働安全、品質向上などさまざまな目的で、「適切な農業生産を実施すること」
食品安全が目的であれば、食品安全GAP
農業生産の方法は、農作物や気象などの条件で異なる
GAPの項目や内容は一律に決めることはできない様々な条件を考慮し生産者が自主的に取り組むことが基本
GAP(ジー・エイ・ピー)とは何か -2-GAP (Good Agricultural PracticeGAP (Good Agricultural Practice))
フィード
1.目的に応じた適切な生産方法を決め、リストアップ
2.リストを確認しながら、適切な生産方法で作業を実施
3.その都度、適切に実施できたかどうかを記録
4.適切に実施できなかった原因を検討
5.次の作業や次期作に向けて、実施内容や方法を見直し
バック
1~5までを繰り返すことがGAP
GAPはHACCPではない –1-
HACCPは、
重点管理点を定めることができる
袋詰め前の異物混入チェック(金属探知機)
包装前の加熱殺菌
原材料の洗浄 等
重点管理点を確実に守ることで危害を防止
HACCPは、閉鎖系の工場に適用
GAPはHACCPではない –2-
農業は、
開放形の水田、畑、果樹園などで実践
再現性がない
重要管理点を決めることは困難
HACCPではなくGAPの適用が実際的
目的:消費者の関心が高い食品の安全性の確保
手順1. 食品の安全性に悪い影響を与える要因をリストアップ
残留農薬、重金属、病原性微生物、異物混入etc
2. その影響をできるだけ押さえる生産方法をリストアップ
ほ場周辺の状況確認、農薬の適正使用、水管理期間の延長、収穫機の適切な清掃、生産資材の適切な管理、選果場の清掃・整頓etc
3. リストに従い確実に実施・記録4. より適切な生産方法の見直し
食品安全GAPとは何か
難しいことではない新しい技術導入ではない日頃の農作業を整理
ユーレップギャップ(EUREPGAP)-1-
EUREP(ユーレップ(Euro-Retailer Produce working group):欧州小売業組合)
農産物の安全管理に向けた取組を進めるため、EU域内の食品小売業者や生産資材メーカー等の参加により1997年に設立された任意の組織(事務局はケルン)
ユーレップギャップ、
農産物の生産段階(農場)における安全管理のため、2000年にユーレップが共通化し、作成したGAP及びその認証制度
ユーレップギャップ(EUREPGAP)-2-
目的
「食品の安全性の確保」に加えて、「環境負荷低減」、「生産者の労働衛生・労働安全・労働福祉」及び「動物福祉」
公表されている重要管理点「野菜・果実」、「観葉植物」、「総合農業
(家畜、野菜・果実、穀物、飼料」、「水産業」、「コーヒー」の5部門
認証のための審査部門毎に、ユーレップに登録されている審査機関で実施(第三者認証)
ユーレップギャップ(EUREPGAP)-3-
認証件数(農家・農家グループ)2006年3月末現在、「野菜・果実」部門のみで
50か国以上、50,000を超える状況
ユーレップギャップとの同等性チリ、メキシコがユーレップギャップとの同等性を取得済み、中国、我が国においては同等性の確認の手続き等を実施しているところ。(このような状況下、ユーレップギャップは実質的な国際標準となりつつある状況)
食品安全GAP導入のメリット -1-
EUREPGAP(ユーレップギャップ)並のGAPに取り組む諸外国(中国etc)の動向
ISO22000の動向
コスト減 例(農薬)ポジティブリスト対応
適正使用をチェックすれば、残留農薬検査だけに比べ分析件数はごく少量
残留農薬基準値越えの場合、記録を基に原因を特定でき、出荷停止も最小限
食品安全GAP導入のメリット -2-
記録化・保存化○ リスク管理実施内容の事後証明が可能
○ 客観性・透明性
○ 経営改善
環境保全や品質向上など産地作りと一体的に進めることが可能
GAPチェックリストの例 ・水色は生産履歴記帳運動に基づく部分
生産現場における入門GAPの活用の一例生産現場における入門GAPの活用の一例
JA作物生産部会(米、麦、野菜)
1. 生産者が、作業日誌(野帳、生産履歴記帳)に必要情報を随時記入
2. チェックシートへの記入3. JA作物生産部会への提出
○チェックシートを提示し、提出するよう依頼
1. 食品安全及び環境と調和した生産活動を行うため栽培暦、栽培基準、防除暦の見直しなど
2. 入門GAP整理表を参考にチェックシートの作成(生産者用、JA用)
3. 提出されたチェックシートの集計(必要に応じて生産者から聞き取り)4. JA用チェックシートへの記入
生産現場(生産者)
食品安全GAP及び農業環境規範を考慮して生産された農産物の供給
5. 生産者を含む次期作の生産方法の検討会等において改善点の検討を行う
6. 栽培暦、チェックシートの改訂
改善点を1、2へフィードバック
消費者信頼の向上
日本GAP協会-1-
設立の経緯及び目的農産物の安全性の確保には、トレーサビリティ、生産履歴情報では不十分であること、EUにおいてはユーレップギャップが普及しつつあることを踏まえ、我が国に適したGAP(JGAP)を広く普及・発展させること等を目的として、平成17年に設立。
組織(主な役員)運営委員長 池戸 重信(宮城大学教授)
副会長 木内 博一(農事組合法人和郷園)
理事長 田上 隆一(農業情報コンサルティング(株))
理 事 片山 寿伸(片山りんご有限会社)
理 事 松丸 正明((株)ケーアイ・フレッシュアクセス)
日本GAP協会-2-
会員数100を超える農家または農家グループが会員
その他生産者に加え、流通業者、消費者等を委員とするJGAP運営委員会を設け組織の充実を図る予定
JGAPとユーレップギャップとの同等性確認のための手続きを行っているところ
活動① JGAP(青果物、穀類)の作成・公表
② JGAPの普及啓発活動
③ 指導員の育成
農林水産省による支援策
食の安全・安心確保交付金
事業実施主体・・・・都道府県、県中央会、経済連
地域JA、特認団体 等
講習会の開催
食品安全のためのGAP策定・普及マニュアル
入門GAP(記帳練習用シート)
HPの開設
農林水産省内に専用コーナーを設置http://www.maff.go.jp/syohi_anzen/gap/index.htm
食品安全GAPGAPはHACCPではない –1-GAPはHACCPではない –2-農林水産省による支援策
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